【 vol.10 】大きな勇気


次女の通院に月に一度、大学病院に通っています。
待ち時間が長いので、なるべく早い順番を取るために、午前7時前には家を出ます。
診察が終わると、おおよそ10時頃。
帰りの電車は、まだ朝の通勤ラッシュの名残があって、いつも満員です。
2、3台見送っても満員なので、仕方なく私は、いつものように片手で9キロの子供を抱え、もう一方の手にはベビーカーと荷物を持ち、来た電車に乗り込みました。

すると、私の姿を見たアジア系の方でしょうか。
たぶん、フィリピンの方だと思います。
「こっちへおいで」と手招きをしているのです。
私は、こんなに込んでいるのにと不審に思いながら、その方の方へと移動してみました。

すると、その人は、たどたどしい日本語で、席に座っている女子高生に向かって、「この人は赤ちゃんがいて大変だから、席を譲って下さい。」と交渉しているではありませんか。

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私はびっくりして、「大丈夫ですから・・・」と遠慮すると、その人は、「あなたが座るのは当然です。」とおっしゃいました。
女子高生も、気持ちよく席を譲ってくれました。
私は、恐縮してお礼を言いながら、席に座らせて頂きました。

自分の座席を人に譲ることさへも勇気がいることなのに、人が座っている席を他人のために譲ってくれるようにと言える大きな勇気に、私は感動しました。

その人は次の駅で、まるでなんでもないことのように手を振って降りていかれました。
私にとってその席は、どんな座席よりも心温まる嬉しい席でした。
ありがとうございました。