【 vol.19 】更生の父


新芽が芽吹く春。うららかな春。春っていいですね。
いつもご愛顧いただきましてありがとうございます。

20080401_1今月は、長年非行問題に取り組み、非行少年たちの更生に命を懸けてこられた、能重真作さん(74)のお話です。

現在少年事件の数は、補導も含めて百二、三十万人といわれますが、実際には数百万人に上るそうです。最近の特徴として立ち直りまでに、非常に時間がかかるそうですが、大方は若い頃の過ちとして立派に更生しているそうです。

学校の教師も世間も親も「何をしたか」だけに目を向けて、叱ったり責めたりしている。大切なことは「何故したか」。その原因が解決できる問題なら一緒に考えてあげる。

答えが出なくても、その辛さを分かってやれる大人が一人でもいれば、子どもは救われる。少年事件の背景には、そういう大人が周りに一人もいなかったということにある。

彼らのほとんどが「誰も分かってくれなかった」「本当に真剣に話を聞いてくれた大人はいなかった」といいます。

鑑別所の面会室で初めて会った時、彼らは「それなり」の顔をしているが、一時間も話していると、まるで別人の顔になっている。素の顔はとても優しいのに、仮面を被ることで精いっぱい虚勢を張り、自分をガードしている。「俺は人を怖がらせることでしか、この社会で生きていけない」という子も。

親身に話を聞いてくれる大人との関わりができれば、子どもの人生は大きく変わる。それを、我々のような団体(非行克服支援センター)だけでなく、近所の人も関わる。

そして最もしなければいけない立場にあるのが学校の教師だと思う。「右向け右」で一斉に右を向くような生徒ばかりでは、教師は教師として育たない。同様に何でも親の思いどおり素直に言うことを聞く子であれば、親は親として育たない。

子どもに困った問題を突きつけられた、教師は教師として、親は親として育てられる。それを困った子として捉えてしまうと、子どもの本質が見えなくなり対応を誤ることに。

能重さんが大学四年の時、非行発生率が東京二十三区内でトップだった足立区の中学校へ。教育実習として行き、非行少年たちと出会った。そこで教師に邪魔者扱いされている少年たちの実態を目の当たりにし、親にも教師にも見放されたこの子たちに教師が必要だと考え、自分の進路を教師に決めた。

現在の能重さんは「非行克服支援センター」を設立。少年院・鑑別所に足を運び、電話相談を受け、少年事件の付添人として、曜日も時間も関係なく、非行少年の更生に命を懸けていらっしゃいます。

思春期に躓くか躓かないかで人生は大きく変わる。取り返しのつかない失敗をしてしまうかも。そうなる前に気付いてほしい。そう心に祈りながら今も子どもたちと向き合っておられます。……………

大人として有るべき姿で、自己犠牲の上で取り組んで下さっている能重さんに、感謝の思いでいっぱいです。ありがとうございます。又、来月お目にかかります。お元気で。
(参考文献…致知)

中谷