【 vol.34 】できる できる できる


大地や植物ばかりか、人の心も癒し潤す雨。恵みの梅雨ですね。
いつもご愛顧いただきまして心から感謝申し上げます。

20090601今月ご紹介する熊澤英子さんは、平成14年42歳の時、膠原病という難病を発症。両足が凄くむくみ出してきて、指も芋虫のように大きくなってしまった。

主治医が「こんな患者さん見たことがない」というほどのひどい症状。抗体の働きを助ける「補体価」の数値が極端に低く、計測すらできない。さらに心膜という部分に水が溜まり、通常拳大の心臓が30センチ近くにも膨らんでいた。

英子さんは以前から、中村天風先生に私淑 (直接教えは受けないが、師として敬い学ぶこと) していたが、天風先生は「病は忘れることによって治る」と言われていた。

英子さんは、忘れることは難しくとも考えないようにするにはと、パジャマを普段着に着替えた。病室にいると病気の話ばかりで気が滅入ってしまう。とにかく元気な人のいる所へ行きたいと、淀川キリスト病院へ入院していた英子さんは、お医者様や看護師が対象の礼拝に毎朝参加。

朝起きると朝日を見に行き、「あー今日も目覚めた」 と感謝。天風会の誦句を一人で読み上げ、窓を開けて、外の新鮮な空気を精一杯吸い込んだ。そして、外の空気を吸って普通の生活をしていたことが、いかにありがたいことだったか実感。

治療のために大量に服用していたステロイド剤の数も減り、快方に向かい、そろそろ退院という時、突然腰のあたりの骨が「グシャッ」と潰れて激痛が走った。ステロイド剤のおかげで命は助かったものの、副作用で骨粗鬆症になっての圧迫骨折だった。

病院から 「帰っていいですよ」 と言われてはグシャッ。骨が折れるたび稲光が走るような激痛だった。そんな状態でなんとか退院し静養していたが、またボキボキ折れて。病院からは 「骨が固まるまで絶対に動かないように」 と言われ寝返りもできなくなりベッドの上での生活になった。

ベット上での英子さんは絵手紙を書いて過ごしました。その年の暮れ、寝返りを打つ練習をし、ようやく横向きに寝られるようになった。その後、何か月かのリハビリのかいあって、車椅子、歩行器、二本杖と進んで歩けるようになった。

入院中、リハビリ中、英子さんが基本としていたのは、天風先生の教え 「積極精神」。平常心で、何でもできる、できる、できると信じ込む力。何でも実現していくんだという思い。

もう一つは、言葉の持つ力。入院中、初めに心不全になった時、先生が 「心臓がちょっとお疲れなので、ゆっくりしてて下さい」とおっしゃった。「心臓が弱ってますからじっとしていて下さい」 と言われたら、きっと不安に陥っていたと思う。だから日常、何気なく使う言葉でも気をつけなければと思った。

ベッド上で書き留めた絵手紙で、絵手紙展を開いた英子さん。「絵手紙を書く時は、読んだ人が元気になるような言葉、自分自身も読んで嬉しいなと思えるような言葉を発していきたいと思います」 と明るく前向きです。難病と薬の副作用に英子さんが打ち勝ったのは、師の教えと言葉の持つ力でした。

考え方って大切なんですねえ。来月又お目にかかるまで、ご自愛下さいね。

中谷幸子
(参考文献…致知)