【 vol.36 】舞台3時間半の長丁場をこなす女優、森光子さんに学ぶ


夏が来ーれば思い出すー。(唱歌・夏の思い出)
小学校の夏休みは、いつも祖母が住む田舎へ行きました。昼は蝉、夜は蛙の合唱団。川の辺で、ほーほーほーたるこい。

思い出は、幾つになっても色褪せずなつかしいものですね。
いつもご愛顧いただきましてありがとうございます。

20090801今月は、女優・森光子(本名・村上美津)さんが、7月1日、女優ではじめて国民栄誉賞を受賞されたお話です。

「芸能界で常に第一線で活躍し、放浪記では約半世紀にわたり主演するなど、国民に夢と希望と潤いを与えた」 と功績をたたえられました。

森さんが、舞台「放浪記」で単独主演回数2,000回を達成したのは、5月9日森さん89歳の誕生日。主演回数では、杉村春子さんの「女の一生」が947回、山本安英さんの「夕鶴」が1,037回。初演から48年間、単独の主役で、2,000回というのは世界演劇史上初記録。

舞台を長く続ける秘訣は? 「バランス」と森さん。「舞台を続けるには、何と言っても健康が大事。でもどうしても乗り越えなければならない問題がある時には、健康だけではだめ。強い心が自分を支えてくれる。心のバランス。

人は、時に自分の力を過信したり過大評価してしまう。何でも一人でできると勘違いしたり、いい気になって、つい人に余計なことを言ったり、思い込みで動いてしまっては、またやり直すという——。いまだにその繰り返しです」。

森さんの舞台の膨大な台詞の覚え方は、A4サイズのコピー用紙を横長に二つ折りにして、自分の台詞を端から書き出す。それを声に出して読んで覚えていく。自分で書いて、自分で発生した台詞を耳で聞いて覚える方法。

森さんの健康法、スクワット (背すじを伸ばしたままでひざを屈伸する運動) は有名ですが、朝75回寝る前75回の150回。200回することもあるそうです。

森さんは、2度の結婚と離婚を経験されていますが、今度生まれる時は男になりたいそうです。王貞治さんのような素敵な男性になりたい。王さんはとても気遣いのある方で、自分よりずっと若い人に対しても、そこまでしなくてもということまでしてあげられる人。本当に素晴らしい方です。

「再来年は初演から50年に当たる。それまでやりたいという決心が固まりかけている」と語る森さん。舞台への新たな意欲が生まれかけているようです。

「人生というのは、初日も千秋楽も教えてくれません。終わりを考えることより、今すべき大事なことがあるんじゃないかしらと思っています」。

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一舞台3時間半の長丁場をこなす89歳の森さんに全うする人だけが発する凛としたものを感じます。

人生という舞台を公演中の私たち。心と体のバランスを取りながら感謝と感動を味わっていきたいものです。まだまだ厳しい暑さが続きますが、来る冬に備えて身体を温めておくと思えば—–お元気で。

中谷幸子